『 鬼退治の季節 』
沖縄県民にムーチーと言えば、月桃の葉に包まれた甘いお餅をすぐに連想するだろう。旧暦の12月8日に、魔除や健康・長寿の縁起物として食す。
2021年は新暦の1月20日がその日に当たり、私も例外なくいただいた。月桃の良い香りに癒やされながら、沖縄の文化にロマンも感じた。
魔除けのために食すという言い伝えはその昔、12月8日にムーチーが鬼退治に使われたという話から。そのことから、鬼餅とも呼ばれるようになったのは有名だが、何故12月の庚から8日になったのかということの中に、月の満ち欠けで判断できる日という説を目にした。
今から300年前、暦を持っていたのは首里那覇の士族層だけだったそう。
なので、鬼餅の発祥も首里那覇だったであろうと記されていた。このように、一つの食文化から歴史を垣間見て、時代背景を想像する事で、ムーチーを通して感じるロマンも深くなる。
今年の鬼はなんといってもCOVID-19。
ロマンを感じる余裕は無い気もするが、せっかくなら想いを込めて。1日も早い無病息災を願い、そして次の鬼退治"節分"を迎えるのであった。
古来から人類は『鬼』という名の試練を乗り越えてきた。その人々の心に『希望』という光を失わないような慣わしがあったのだ。